年の瀬にチャリを盗まれた。
今年一年を振り返っていた年の瀬に
チャリを盗られた。
高校入学時から8年間愛用していたチャリを盗られた。
自宅のガレージに鍵を付けたまま停めていたら、盗られた。
母親と猫2匹が在宅していた白昼堂々、盗られた。
思い返せば一緒にガードレールに突っ込んだり、
一緒にドブにはまったこともあったが、
それでもヘタることなくついてきてくれたタフな愛車だった。
彼のことを思うと、とてもかなしい。
いや、かなしいなんて綺麗な感情じゃない。
そう、怒りだ。
ただ、怒ったところでチャリは帰ってこない。
世の中は非情だ。
諦めて新しいチャリを買うしかない。
ので、買った。
4万のチャリを買いました。
チャリ盗られたので、4万のチャリ買いました。
そして、彼はやってきた。
ようこそ我が家へ
せっかくなので可愛いデザインのものを、とフレームの色をモダングリーンにした。
かわいい。
すてき。
思っていた以上だ。
あまりにも素敵な見た目と、乗り心地の良さ。
彼に乗っていると、どこまでも漕いで行けそうな気がする。
どんなに遠くの地へも彼に乗って飛んで行けそうな気がする。
・・・そうだ、
どーん。
軽快な走りと、移り変わる景色。
心地よくすり抜けて行く風。
日の光が暖かく照らすハンドルの向かう先には、希望に満ちあふれた未来が待っているよ・・・
そうだ、
みんなでサイクリングしようよ!
どんなに悲しいときも
どんなに腹立たしくトゲトゲした気分のときも
サイクリングしたら、きっと気持ちが晴れるよ!
そう、人のものを盗んだ罪深いあなたも
それを憎む禍々しい感情であふれた私も
一緒に、
仲良くタイヤを並べて風をきってごらん。
ふたりの心の中も、暖かい春風がすり抜けていくよ!
ねぇふしぎ。
あんなに負の感情で満たされていた心が、
サイクリングしただけでこんなに軽くなったよ!
だからほら、
みんな、サイクリングしようよ。
サイクリングしようよ!
おわり